2013年06月10日

プロローグ4


「ファネルか。久しぶりだな」

黒い水晶からは、いつものテラーの声が聴こえてきた。
マイペースで、人の苦労もしらず、小言と、皮肉めいたことを
淡々といい続ける相棒の声が

……

「久しぶりだな……じゃなーーい!!」

斬っ!!

神速の一刀が、黒水晶をかすめる形で放たれた。
地面に穿たれる一閃の跡

「あたしがどれだけ探したと思ってるんだよ!!
 いつも小言ばっかりなのに、急にいなくなって
 チームのみんなにも無理いって抜けさせてもらって
 貯めてたチューン費用も使い切って、それでも探して
 さらに霧の中で迷ったあげく、トゥースともはぐれた末に
 やっとみつけたら、ひさしぶりだな、って
 テラーさんのばかーーーーーーー!!」

それは感情の爆発だった。
ここまでの不安が、弱気が、もしかしたら、という想いが
言葉の奔流となって飛び出す。

「やれやれ、恐怖を語る者、テラー・テラーも形無しだねぇ」

揶揄の声も届かず、ファネルは、目から熱い滴を流し続けた





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posted by ファネル at 03:39| Comment(0) | SS | 更新情報をチェックする

プロローグ3

ファネル・リーブライト

それは、ファネルの名前であると同時に
一昔前に活躍した、シグロットの名前であった。

このエルアーク大陸に単身で渡り、その拳銃と
CyGを操る腕で、傭兵として名をはせた女性

圧倒的早撃ちで、近づく高速機を片っ端から蜂の巣にしたその逸話を
ファネルは母親に何度もせがんだ。
自分の名前がそんな勇敢な女性からつけられることを誇りに
思ったし、何より自分にその女性と同じ血が流れてる事に
胸の高鳴りが抑えられなかった。

ファネルが母親と生き別れたあと、シグロットになったのは
ある種の必然であったのだろう。

そして、その必然の原因となった人が目の前にいる
つまり、彼女は

「ご先祖さまっ!?」

「Yes、そのとおりさ」

積み上げられた干草にどさっと腰をおろすと、女性、初代ファネル・リーブライトは
得意げにそう頷いた。
立ち話しもなんだから、と連れてこられた、ほったて小屋、というか納屋か?
しかし、今のファネルにとって、そこがどこであろうと大差ない。
あるのは、数々の疑問だけだった

「でも、なんでご先祖様が、こんなところに、というか、その外見は!?」

「失礼なやつだなぁ。ボクは別にしわくちゃのおばあちゃってわけじゃないんだぜ?
 もちろん本当は、この外見より多少年はとってるけど……
 まぁ、それはともかくだ、その質問に答えるより先に渡すものあるんだよ
 そのために、わざわざボクはここ、時空の狭間の都市、まで来たんだからさ」

「渡すもの?」

「それ、これ、、いや、彼さ」

ひょいっと、いった感じでファネルの手元に放り投げられたのは
黒い球体だった。
黒真珠?
それにしては重い。
どちらかというと水晶玉に近い。しかし、その表面は黒く澱んでいて
透明感はまるでない。
これはなんだろう、じっと、それ、を見つめ続けていたファネルは
一瞬かすかに、水晶の奥に映った影に驚愕の声をあげた

「テラーさん!?」

探していた相棒の姿が
そこにあった
posted by ファネル at 02:37| Comment(0) | SS | 更新情報をチェックする

2013年06月04日

プロローグ2



「ここが噂にきく、時空の狭間ってやつなのかなぁ」

周囲を見回しながらファネルはつぶやいた
それはシグロットに伝わる噂である
霧の向こうに、時空の狭間と呼ばれる都市があり
そこでは、CyGに限界を超えたチューンをほどこせるのだと。
実際にそこに行ってきたという者は何人もおり、テラーも
過去に行ったことがあると言っていた。
となると、ここにテラーがいる確率も十分ある
そこまで思考が動いたところで、背後から
かすかに草を踏みしめる音が耳に響いた。
反射的に右手が腰のモノに手をふれる

「破っ!!」

集中!

振り向きざまの斬撃が背後から忍び寄る影に迫ろうとした時

「0.36秒遅いよ」

迎撃!

神速の一撃を超えた銃口が、ファネルの顔面に突きつけられた

殺られるっ!?

それでも何とか回避行動をとろうとしたのは
あきらめることを知らないその生き方故か
しかし、それが間に合わないことをファネル自身が一番知っていた

「ばーーん」

「へ?」

気の抜けた声を発して、ファネルはその場にどさりと倒れた
牧草がファネルを柔らかく受け止める。
傷は、ない。
へたった身体をなんとか起こして、ファネルは自分に突きつけられたものが
何かを認識した。

それは、人差し指だった。

「足音殺して近づいたボクも悪いけどさ。いきなり斬撃ってのはないんじゃないかな?
 一応峰打ちみたいだったから、死にはしないだろうけど、ボクじゃなかったら
 大怪我負わせていたかもよ?」

軽い口調でそう言ったのは、若い女性だった。
身動きしやすそうな皮の衣服に身を包み、銃の形に作った右手を
くるくる回しながら、おどけたように話しかけてくる
しかしファネルの印象に残ったのは、そんな仕草や、頭の上に乗せられた唾広帽や
腰につけられたガンベルトとその中身ではなく、燃えるように長く伸ばされた
赤い髪であった。

それは子供の頃のファネルがかすかに覚えているモノ。
台所に立つ背中にあったモノ
目線をさげて、あやすように話かけてくる時に、ファネルの目の前にさがったモノ

「おかあ……」


「待った!待っただよ!」

「あ……」

「いくらなんでも、君みたいな大きな娘を持つような年じゃボクは
……いや、たしかにそれくらいの年でも、おかしくはないんだけどさ、
 でもほら、この外見の時にはやっぱり、そんな年じゃないし、
 うん、そうじゃない」

1人でそう頷く女性をみて、ファネルはやっと我に返った
女性はせいぜい20代の中頃にしかみえない。
ファネルの母親ではありえないし、顔立ちも違う。
いや、それでも少し似ているところはあるだろうか?
親戚?でも、ファネルの記憶には遠く昔に生き別れた母親以外に
血族の記憶はない
だから、次に発せられた彼女の言葉は衝撃的だった。
そんなことがあるのだろうか?
そう思うくらいに。

「混乱するといけないから自己紹介から始めようか。
 ボクの名前はファネル・リーブライト。
 ただのしがない、拳銃使い(ガンスリンガー)さ」

あきらかに混乱させようとしている、そうとしか思えない口調で
彼女はそう名乗った。
posted by ファネル at 02:18| Comment(0) | SS | 更新情報をチェックする

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